恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
「お客様!?」
「花澄っ!?」
背後で知奈や案内係が呼ぶ声がする。
花澄は店を出たところで足を止め、はぁはぁと肩を上下させた。
どんな服を着ていても、どんな格好をしていても……
自分の心が、胸に刻まれた面影が、あれは環だと主張している。
──── 一目見ただけで、魂が引き寄せられる。
そんな人間は、そんな男は……この地球上で、環しかいない……。
やがて足音とともに、背後から知奈が走り寄って来た。
知奈は花澄の前に回り、がしっと肩を掴む。
「ちょっと、花澄! 落ち着きなって!」
「……知奈……」
「私も会ったときは驚いたけどね。あれは相沢君じゃないから! 似てるけど、違うから!」
「……え……」
花澄は呆然と知奈を見た。
……違う?
知奈は花澄の顔を覗き込み、言い聞かせるように言う。