恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~



キッチンの中の光景に、環は手にしていた鞄をバサッと落とした。

そこで目にしたのは……



手首をナイフで切ろうとしている、花澄の姿だった。



環の頭の中が、一瞬で真っ白になる。

唇が、指が、足先が、小刻みに震える。


────どうして…………


考えるより先に体が動く。

環は反射的に、花澄のもとへと走り寄った……。


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