恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
翌朝。
カーテンの隙間から漏れる朝日が、ゆっくりと部屋の中に差し込んでくる。
甘く湿った夜の名残を溶かすかのように、シーツの上で白い光が乱反射する。
「う……ん……」
花澄は睫毛をゆっくりと瞬かせ、そっと焦茶色の瞳を開いた。
すぐ目前にある環の端整な顔に、思わず息を飲む。
────無防備に眠る、その横顔。
その白皙の頬も、長い睫毛も、艶やかな黒髪も……
昔から変わらない。
ふと、枕元の時計を見ると……。
「えっ! もう10時!?」
花澄は思わず叫んでしまった。
さーっと蒼白になる。
あれから夕飯も取らずに二人で寝室に籠り、そして……。
…………。
花澄は気恥ずかしさにしばし目を白黒させた後、身を起こし、慌てて環の肩を揺すった。