恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
知奈は言いながらビールグラスを傾ける。
花澄もウーロンハイを一口飲んだ。
「……しっかしすごい執念ね。その分だと、例え世界が滅んでも、地の果てまであんたを追っかけてくるんじゃないの?」
いや、世界が滅んだら地の果ても何もないような気がするが……。
何も言えない花澄に、知奈は続ける。
「あんたが死んだら、すぐさまあの世まで追っかけて行きそうね。でもってあんたの魂を引っ掴んで、来世へと強制連行って感じかしら?」
「……」
「あの手のタイプは、なんか時空を超えて来世まで行きそうな気がするのよね。例え人間以外に転生したとしても、絶対にくっついて離れない気がするわ……」
知奈の言葉に花澄はハハと笑いつつも、そうかもしれない、と心の片隅で思った。
────自分の半身。
幼い頃からずっと、花澄と環はお互いをお互いの一部のように思っていた。
双子のようにというよりは、もともとひとつの魂だったものが二つに分かれて花澄と環になったような、そんな感じがする。