恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
「……で? どうすんの、これから? 相沢君、香港の会社に勤めてるんでしょ?」
「うん、それなんだけどね……」
花澄は昨日、環に言われたことを思い出した。
環は今、港南機業の特別顧問として日本法人の事業編成のために日本に来ているらしい。
この先一年ほどは一か月ごとに香港と日本を行き来することになるだろうが、その先は香港の港南機業の本社に戻ることになるらしい。
……つまり。
「国をまたいだ遠恋ってこと?」
「ん、そうなるかな」
花澄は頷き、卵焼きをぱくりと食べた。
とりあえず、3月末までは環は日本にいるらしい。
けれどその先は基本的に遠恋となる。
「……大丈夫なの? せっかく再会できたのに……」
「んー、ちょっと寂しいけどね。……でも多分、この一年でお互いにいろいろ身辺整理をして、準備を整えるって感じになるんじゃないかな」
「準備って……結婚の?」
「うん、そう」
花澄が頷くと、知奈は驚いたように仰け反った。
そのあまりの驚きように、花澄も思わず驚く。