恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
「えぇっ!? あんた、あたしを置いて違う世界に旅立つつもりなの!?」
「……違う世界って……」
「あ~、羨ましいわ! これであんたの相手がロクでもない奴だったらあんたの足を引っ掴んでやるけど、なにしろ相手はアイツだからね。……下手なことはできないわ」
何やらブツブツと知奈は言う。
花澄はハハと乾いた笑いを浮かべた。
────ちなみに。
広瀬はあれからすぐに『現実の世界に戻された』らしい。
それとは逆に、花澄はこれまでとは違う世界に旅立つことになるわけだが……。
「ま、とにかく。頑張んなさいよ? 遠恋でしかも国際結婚になるわけだからね! それなりに心の準備が必要よ?」
「う、うん……」
「式の細かい日どりとか決まったらまた教えて? 友人代表スピーチとかしたげるからさ~」
知奈はにこにこ笑いながら言う。
……高校の頃から、いつも花澄の相談に乗ってくれた知奈。
花澄は知奈に感謝しながら、こくりと頷いた。