恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
4.大人の選択
その週の土曜。
新宿駅にほど近い喫茶店の一角で。
花澄はテーブルを挟み、雪也に向かい合っていた。
「……そう、なるほどね……」
花澄の話を一通り聞き終わった後。
雪也は昔と変わらない、穏やかな表情で花澄を見た。
────昔から花澄の心を支えてくれた、初恋の人。
雪也がずっと自分に向けてくれていた想いを、その深い気持ちを考えると心が痛む。
でも、だからこそ……自分の口で、はっきりと言わなければいけない。
花澄はひとつ息をつき、……意を決し、言った。
「だから……ごめんね、雪くん。私は、環を選びます」
────例え雪也を傷つけても。
それでも自分は、環とともにこの先の未来を歩いていきたい。
その覚悟を瞳に込め、花澄は真っ直ぐに雪也を見つめた。