恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
美鈴は言いながら照れたように微かに頬を染める。
花澄は驚きのあまり何も言えず、美鈴を見つめていた。
ずっと花澄は、美鈴は本家のお嬢様にふさわしい、それこそ雪也クラスの家柄の人と見合い結婚でもするのかなと思っていた。
しかし実際は、ごく普通の恋愛をし、ごく普通の結婚をすることを選んだ。
人は見かけによらないと言うか、何というか。
先入観というのは自分が思っているより当てにならないものなのかもしれない。
「だから正直、この数年はあんた達のことを忘れてたというか。うちの家も借金騒動とかあって、それどころじゃなかったというか……」
「………………」
「でももう、私も結婚するし、これを機に関係を修復しようって思ってね。7年前のことは、私もやりすぎたと反省してるわ」
「……美鈴……」
「それにこれからは、頼もしい見方がいるわけだしね?」