恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
そういえば、ポケットに入れたことを忘れていた。
暁生の目が訝しげに落ちた名刺を見る。
花澄は慌ててそれを拾い、ポケットの中に突っ込んだ。
まさかこんな所でこんなものを落としてしまうなんて……最悪だ。
内容まで見られていないとは思うが……。
「……大丈夫ですか?」
「ええ、すみません」
「では、行きましょうか」
暁生が優雅に二人を奥の居室へとエスコートする。
花澄は胸をドキドキさせながら、二人と共に居室へと向かった。