恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~



つまり……。

アラブの淡水プラントで使う機材を日本で買い付けるために、会社を作ったということらしい。

なんだかよく分からないが、規模が大きそうな話だ。

ふむふむと話を聞いていた花澄を、環はじろりと見、言う。


「……話はいいから、手を動かせ。このままだと今日中に終わらないぞ?」

「うっ、うん……」


今日はこれから、由比ヶ浜にあるレストランで夕食をとる予定だ。

明日の出立を控え、最後の晩餐といったところだろうか。

ちなみに花澄はこの先しばらく環のマンションに住まわせてもらい、鎌倉の屋敷の買い戻しが終わったら、屋敷に戻る予定だ。

もともと住んでいた八王子のアパートは既に取り壊されており、戻るに戻れない。


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