恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~




……それにしても。

クリスマスからのこの三か月間は、怒涛のように過ぎ去っていった。

今でもこれは夢ではないかと花澄は朝起きるたびに思ってしまう。

それは環も同じらしく、環は朝目覚めるたびに花澄の存在を確認するように花澄をぎゅっと抱き締める。

『夢じゃないんだな』と耳元で囁かれるたびに、花澄も環の体をぎゅっと抱き返す。

しかしそんな夢のような日々も、明日で一旦、終わってしまう……。


この先一年は、辛抱の時だ。

一緒に未来を歩いていくために、今は離れなければならない。

この一年の間で花澄は工房が独り立ちできるように、環の協力を得て業務面や資金面を整えていく予定だ。

もちろん父の繁次も花澄と共にそれらのノウハウを環から学ぶ予定ではあるのだが、環曰く、『旦那様は根っからの職人気質なので、正直向いていない』らしい。

状況によってはアウトソーシングしてもいいのではと環は言っているのだが……。

それらのことも、これから一年の間で詰めていく予定だ。



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