恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~



環の声に、思わずはっと顔を上げる。

環は鮮やかな色香に満ちた瞳で微笑み、花澄を見つめている。


「今日は汐留には戻らない。だから何でも、好きなものを頼め」

「…………っ」


頬が一瞬で赤くなる。

花澄はドギマギしながら環を見た。

昔と変わらない、綺麗な榛色の瞳。

けれど……


────変わったものも、ある。


そう思うようになったということは……

やはりお互い、大人になったということなのだろう。


変わらないものと、変わっていくもの……

そのどちらも、大切にしていきたい。

これからの、二人の未来のために────。


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