恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
月明りの下、沖に出ている船の灯りがちかちかと瞬きながら、昏く沈んだ水平線の向こうへと消えていく。
少し肌寒い夜気の中、星々の冴え冴えとした光が夜の海に降り注ぐ。
火照った体に、夜風が気持ちいい。
ベランダに立った花澄は、バスローブの襟口を少し広げて自分の胸元を見た。
……無数に刻まれた、紅い印……
あの夜から印は増え続け、今では自分では見えないところにも印が刻まれている。
「……環の、ウソつき」
花澄はぽそりと呟き、まだ少し湿っている髪をかき上げた。
その頬は紅潮し、目元はうっすらと赤く染まっている。
……一時間ほど前。
食事の後、二人は最上階にあるセミスイートルームへと入った。
そのまま連行されるように環に風呂場に連れて行かれて、そして……。
『体を洗うだけだ』と環は言っていたのに、いつのまにか体を蕩かされ、気付いた時には環の腕の中で熱く甘い息を零していた。
浴槽の壁際の淵に座らされ、大きく足を開かされ、環の肩に片足を乗せて……。
人の手では届かない、足の間の奥の奥までキレイにされてしまった。
「…………」