恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
花澄は甘い吐息をつき、夜空を見上げた。
……環と初めて体を重ねたのは、高校三年のクリスマスの時だ。
互いに情熱が抑えきれず、罪だと知りつつも、恋の淵に身を投げた。
初めて知った環の肌の熱さ、均等に付いた筋肉、艶やかな髪の手ざわり、首筋から香る甘く濃艶な花の香り……
花澄は夢うつつのうちに快楽に溺れ、茫洋とした意識のまま足を広げられ、そして……
……甘い痛みとともに、処女を失った。
あの瞬間の環の切ない呻き声は、多分一生、忘れないだろう。
それから環の自分に対する独占欲は一気に高まり、花澄が男子生徒と話をするだけで、その相手に射殺すような目を向けるようになった。
……今、思えば……。
体を重ねたことで、二人の心のすれ違いがさらに加速したような気もしなくもない。
二人の関係が変わったことで、雪也の花澄に対する想いも変わった。
そして7年前のあの日、ついに破局が訪れた……。
多分自分たちは皆、少しずつ臆病で、少しずつ卑怯だったのだろう。
自分の欲しいものにしか目が向かず、周りが見えていなかった。
ただがむしゃらに欲しがるだけでは、望むものは得られないのだと────
大人になった今は、なんとなくわかる。