恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
環は軽く首を振り、深いため息をつく。
花澄は胸を打たれ、食い入るように環の顔を見つめていた。
「自業自得、といえばそうなのかもしれない。おれはお前の体は手に入れることができたが、お前の心を失った」
「環、それは違うよ。失ってなんて……」
と言いかけた花澄に。
環は少し悲しげに微笑い、目を伏せた。
……この7年間の別離の原因が、どこにあったのか。
環はきっと、それに気づいていたのだろう。
胸に、染みるような痛みが広がっていく。
花澄は環の頬に手を伸ばし、口を開いた。
「私も、環にちゃんと相談すればよかった。そうすれば、あんな別れ方をしなくて済んだのかもしれない。私がもっと、勇気を出せば……」
「多分おれたちは、もっと話すべきだったんだろうな。進路のこと、将来のこと……。話すべきことはいっぱいあったのに、違うことにばかり目を向けてた」
環は言い、花澄の頬にそっと口づけを落とした。
……羽根のような優しい口づけ。
環は花澄の存在を確かめるかのように、何度も花澄の肩を撫でる。