恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
「……あの頃。世界におれとお前の二人きりだったらいいなと思ってた。そうすればお前が選ぶまでもなく、お前にはおれしかいない」
「環……」
環の切ないまでの想いが胸に染みていく。
ずっと昔から、自分に想いを寄せてくれていた環。
ひたむきで一途な愛情はいつしか花澄の心に染み込み、今では自分の心の一部のようになっている。
花澄は環の頬にそっと口づけ、口元に笑みを刻んだ。
「環、────この世に何億人いたって、私の半身は環ひとりだよ?」
「……っ」
「他のどんな人だって、環の代わりにはならないもの」
「……花澄……」
環の美しい榛色の瞳が、うっすらと滲む。
花澄の大好きな、環の榛色の瞳。