恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
ペンダントを手にした花澄の手を、環の手が包み込む。
二人はどちらからともなく頬を寄せ、誓い合うように唇を重ねた。
……唇の間に生まれる、優しい温かさ。
幼い時からずっと傍に居た、かけがえのない、ただひとりの人。
きっと近い将来、自分たちは今と同じように寄り添いながら、南十字星を見上げるだろう。
遥か遠い、南の地で────。
未来への約束は、ひとつ、またひとつと増えていく。
その一つ一つが、明日へと向かう希望になる。
星のようにきらきらと輝くそれを胸に抱きしめながら、花澄は環の胸にそっと頬を寄せた……。
[mini story ~ 出発前夜 ~[完]]