恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~



「おや、花澄さんが『はずれ』を引きましたか?」

「……っ」

「クジには『はずれ』がないと面白くないでしょう? でもそのはずれ券は、後で特別なものと交換できる、魔法の券なのですよ」

「……特別なもの?」

「それは、後で花澄さんだけにお教えします。楽しみにしていてくださいね?」


暁生は言い、目を細めて笑った。

環とよく似た、けれど大人の男の色気を漂わせた、艶っぽい瞳……。

思わずドキッとした花澄の横で、女性陣が『特別なモノって何なのー!?』と黄色い声を上げている。

よくわからないが、この男が相当に女慣れしていることは確かだ。


────やはり、環ではない。


花澄はハハと笑いながら、男性陣から貰った名刺をポーチの中へとしまった……。


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