恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
暁生は微笑いながら、一歩、花澄に近づいた。
大人の色気を帯びた、人を惑わせる妖艶な瞳。
人を罪の深淵に誘い込むような、その瞳……。
花澄はその目を見、胸がドキリとした。
どうして……。
────どうして、環と全く同じ目をするのだろう……。
環とは違う人なのに……。
なぜか、胸にじわりと痛みが広がっていく。
花澄は暁生を見つめたまま、一歩、また一歩と後ずさった。
やがて、背がトンと壁に当たる。
息を飲んだ花澄に……。
暁生は目を細め、笑いながら言った。
「……失礼ですが。お金にお困りではないですか?」
「……っ!」