恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
「……そうですか。失礼なことを申しました。今の言葉は忘れてください」
「……っ……」
「しかし、そうですね。……お詫びと言っては何ですが、後で貴女に一杯奢らせてくださいませんか?」
「……え?」
「一杯だけですから。いかがですか?」
暁生はにこりと微笑んで言う。
花澄は目を見開いた。
……一杯、って……。
驚く花澄の手を、暁生がそっと掴んだ。
少しひんやりとした、男らしく節ばった手……。
ドキッとした花澄に、暁生は顔を近づけ、耳元に囁く。
「ここの最上階にバーがあります。なかなかいい酒を揃えているので、楽しんで頂けると思いますよ?」
「……いえ、私は……っ」
「イエスと言ってくださるまで、この手を離しません。……さ、どうしますか?」