恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~



翌日。

午前中、花澄は有給をとり、銀行へと赴いた。

自分の口座から100万円を下ろそうとした花澄だったが。


「……あれ?」


花澄は窓口で渡された預金通帳の内容に、目を見開いた。

なぜか今日付けで200万円が振り込まれている。

振込人名は『コウナンキギョウ』。

驚いた花澄は窓口の女性に聞いてみた。


「あの、この入金なんですけど。どうして振り込まれているのか身に覚えがないんですけど……」

「え?」


花澄が言うと、女性は驚いたように目を丸くした。

すぐさま席を立ち、奥にあった端末を何やら操作する。

やがて戻ってきた女性は、首を傾げて花澄を見た。


「どうやら香港の会社のようですが……。お客様、何か心当たりはありませんか?」

「……香港の会社?」


花澄ははっと息を飲んだ。


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