恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~



「……あれは、その。合コンの料理代と、ワインの代金で……」

「ほう。……となるとあなたは、どうしても私から何かを貰いたくはない、と。そういうことですか?」

「いや、その……」


花澄は困惑し、狼狽えた。

何と言えばいいのかわからない。

暁生が怒っている理由はなんとなくわかったが、なぜここまで怒っているのかがわからない。

……そう。

暁生は、怒っている────それも、かなり。

けれどあの金だけは、どうしても受け取るわけにはいかない。

花澄はぐっと手を拳に握りしめ、震える唇を開いた。


「あなたのプライドを傷つけたのは謝ります。でもだからといって、200万などというお金は頂くわけにはいきません。返しますので、振込先を教えてください」

「言ったでしょう、あれは意趣返しだと。そのままお納めください」

「ですがっ……」


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