恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
花澄は髪を振り乱し、暁生を見上げた。
暁生は能面のような何の感情も感じさせない瞳で、じっと花澄を見つめている。
花澄はその瞳に、内心で息を飲んだ。
────昔の環と同じ、目……。
やがて暁生は頬を歪め、クスリと笑った。
楽しい何かを思いついたような、どこか悪戯っぽいその表情。
眉根を寄せた花澄に、暁生はその紅梅のような唇を開いて言う。
「そうですね……では、こうするのはいかがでしょうか?」
「……?」
「差額の100万の分、あなたに私の休日に付き合って頂くというのはいかがでしょうか? 一日20万として、5回分。つまり一か月。なかなか割のいいバイトだと思いますよ?」
暁生の言葉に、花澄は驚き眉を上げた。
休日に付き合う、って……。