恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
「いいんじゃないの? あんた、相沢君と別れてから、年中通夜みたいな顔してるしさ」
「通夜って……」
「たまには夏の太陽で身も心も焼き焦がすってのも悪くないわよ。例え遊びだとしても、あんなイイ男、めったにいないしね?」
知奈の言葉に、花澄は内心で頷いた。
釈然としない気持ちはあるが、暁生が『イイ男』だというのは事実だ。
女慣れしている身持ちの悪い男だと分かっていても、惹かれずにはいられないような……。
危険だと分かっていても、花火に火をつけたくなるような……。
そんな不思議な魅力が、彼にはある。
などと思うこと自体、既に彼の思惑に嵌まっている気がしなくもない。
はぁと項垂れた花澄の向かいで知奈はサラダをつつき、話題を変えた。
「そういえば、花澄。年明けの同窓会だけど、出る?」