恋獄 ~ 紅き情炎の檻 ~
────10分後。
二人は新宿駅西口から少し歩いたところにある、スパニッシュレストランに入った。
既に料理は予約してあったらしく、二人が個室の席に着くとすぐに料理が並べられる。
花澄は前菜とサラダが出たところで、先ほどの話の続きを聞いてみた。
「あの、さっき水事業って仰ってましたけど、それってどういう……」
「仕事の話より、私としてはもっと色気のある話をしたいのですがね?」
「……」
「ま、いいでしょう。その方があなたらしい。……水事業と言いましても、私の会社が携わっているのは、発展途上国向けの淡水浄化事業です」
暁生は優雅にフォークを操りながら言う。
花澄はカトラリーを手に取りながら、正面に座った暁生を見た。
「もっとも弊社単独ではなく、複数の企業と合同で各国の政府より受注しているんですけどね」
「……政府から、ですか?」
「ええ。ここ数年、中国企業の海外での淡水浄化プロジェクトがかつてない勢いで進んでいます。どうしてか、わかりますか?」