恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~
────そして、5分後。
「え? 出向!?」
驚きのあまり思わず叫んだ花澄に、宮澤は頷いて言う。
「あぁ。東洋合繊から、うちの天然繊維を工場で使いたいと打診があってね。その代わりというわけではないが、君を本社に出向させてもらえないかと言われてね」
「……ど、どういうことですか?」
「なんでも浄水絡みの多企業プロジェクトとやらがあって、東洋合繊もこれからそれに参加していく予定らしい。そのPMOの人材が足りないとかで……」
「ピ……ピーエム……?」
「プロジェクト・マネジメント・オフィスのことだよ。プロジェクトのリーダーの傍で部門間調整をしたり調査をしたりする、いわゆる雑用係のことかな」
雑用係……。
しかしなぜ自分に、そんなもののお鉢が回って来たのか?
と訝しむ花澄に、宮澤も困惑した様子で言う。