恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~
小百合は優雅な所作で花澄の向かいのソファーに座り、賢吾もその隣に座った。
賢吾は休日だからだろうか、大学生の頃と変わらないジーンズにチェックのシャツというラフな格好をしている。
「あぁ、本当に懐かしいわ。綺麗になったわね、花澄ちゃん?」
「いえ、そんな……」
「でも……昔に比べて、少し痩せたわね? ……私も花澄ちゃんのお家がどうなったのか、だいたいの話を聞いてはいるけど……」
小百合は目元を陰らせ、花澄を見た。
その目には7年前、花澄の家の苦境を知っていながらどうすることもできなかった、悔いのようなものが浮かんでいる。
花澄は軽く首を振り、口元に自嘲するような笑みを刻んだ。
7年前のことは月杜家には関係なく、むしろ振り回したのはこちらだ。
と思った花澄に小百合は目を伏せて言う。
「……7年前、あんな形で縁が途切れてしまって。私はずっとそれが心残りだったの。しかも雪也があんなことをして、そのせいで花澄ちゃんは……」
「いえ、……それはもう、過去のことですから。気にしないでください」