恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~



「……あのね、花澄ちゃん。今日わざわざ花澄ちゃんにここに来てもらったのは、大事な話があるからなのよ」

「大事な話?」

「ええ。これはまだ、私の夫と賢吾しか知らないのだけれど、……落ち着いて聞いてほしいの」


小百合はそこで一旦言葉を止めた。

そして続いた言葉に、花澄は目を見開いた。



「花澄ちゃん。……賢吾と、結婚を考えてみるつもりはないかしら?」



小百合は真剣な目でじっと花澄を見つめる。

花澄は硬直し二人の顔を見比べた。

……賢吾さんと、結婚?


「突然こんなこと言って、びっくりしたかもしれないけど。昔も言ったように、私は花澄ちゃんが二人のどちらかに嫁いでくれたらって思っていたのよ」

「小百合さん……」

「賢吾も身を固めるにはちょうどいい年齢だし、それに相手が花澄ちゃんなら親同士も面識があるし。繁次さんの人となりも昔から知っているから、不安はないわ」


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