恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~



「愛されて結婚するのが女の幸せ、とは言うけれど……。一方的にずっと想われるだけだと、いずれ重くなるわ」

「小百合さん……」

「花澄ちゃんの性格からして、誰かに何かしてもらえばもらうほど、その分返さなければって思うでしょ? 雪也に愛されれば愛されるほど、自分も愛さなければって思ってしまう」

「…………」

「愛するのが義務になると辛いものよ? だからむしろお見合いのように、最初から同じ位置でスタートする結婚生活の方が、花澄ちゃんには向いてるんじゃないかしら?」


小百合の指摘に花澄は内心で驚いた。

年の功というのだろうか、小百合の言葉にはとても説得力がある。

……雪也に惹かれる気持ちはある。

けれど想いのバランスが取れていないと、最初は良くてもどこかで歪な形になっていくだろう。

そうなったら、より傷つくのは雪也だ。

それでもいいからと雪也は言うかもしれない。

けれど……。


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