恋獄 ～ 白き背徳の鎖 ～

「あぁ、ごめん。ヘンな誤解させちゃったみたいだね。そうじゃないから」

「……賢吾さん……」

「あまり変なこと言うと墓穴堀りそうだな……。ま、簡単に言うと政略結婚の相手としてはお互いいいんじゃないかと思ったからだよ」

「政略結婚、ですか?」

「そ。僕はこれ以上周りから結婚しろと言われずに済むし、君もうちと縁ができれば工房の規模をもっと拡大できる」


賢吾の言葉に、花澄は眉を顰めて俯いた。

確かにそう考えれば政略結婚と言えないこともないだろう。

しかし結婚となると、様々な問題が絡んでくる。

その中でも一番の問題は……。


相手と肉体関係が持てるかどうか、ということだ。


正直言って、自分が賢吾に抱かれるなどまるで想像がつかない。

生理的にダメというわけではないが、あまりに突然すぎて思考が追い付かない。

賢吾はそれを含め、縁談の相手に自分を選んだのだろうか?

……だとしたらここで言っておかなければならないことがある。

花澄は意を決し、賢吾を見た。