恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~



クリスマスの音楽がデパートから流れる中、肩を寄せたカップル達が雑踏を行き交う。

花澄は銀座プランタンの近くにあるコンビニの前で、缶コーヒーで冷えた手を温めながらその光景をぼんやりと見つめていた。


直行とあの子は今頃、ホテルの部屋に入っているのだろうか……。

あの二人の会話と雰囲気からして、二人が既に体の関係を持っているのは明白だ。

……何も知らなかった自分。

花澄は缶コーヒーを一口飲み、苦い笑みを口元に浮かべた。


直行に裏切られたことより……

この最悪なタイミングで雪也と再会してしまったことのほうが、痛い。

そう思うということは、やはり自分は7年前から変わっていないのかもしれない。

花澄は7年ぶりに見た懐かしい雪也の顔を思い浮かべた。

────初恋の彼。

いつも自分に優しい微笑みを向けてくれた、大人びた彼。


けれど今は、もう……。

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