恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~
知奈は叫ぶとともに仰け反った。
……無理もない。
知奈は花澄と環のことについてはほぼ全てを知っているが、花澄と雪也のことについては全く知らない。
「な……なにそれっ!? どうやったらそんな人を掴まえられるわけ!?」
「えっと……それは。知り合いの紹介というか、その……」
「月杜くん家って言ったら東洋合繊の起業者一族、しかも元華族の家系でしょ? そんな雲の上の人間を、パンピーのあんたがどうやって捕獲できたのよっ!?」
パンピーって……。
花澄は久しぶりに聞いた言葉にハハと乾いた笑みを浮かべつつ、梅酒のグラスを傾けた。
詳しい経緯は例え知奈であっても言う訳にはいかない。
言うとなると、過去の雪也達との関係まで話さなければいけなくなる。
曖昧な笑みを浮かべる花澄を知奈は刺すようにじーっと見つめた後、はぁと肩をすくめた。
「……ま、よくわかんないけど。やっぱあんた、私が言ったとおりね」
「え?」
「ホラ、前に言ったでしょ? あんたは結婚するなら見合い結婚だって」