恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~



確かに、知奈にどこかでそんなことを言われた気もする。

あれは同窓会だっただろうか。

思い出そうとする花澄の前で、知奈はツナサラダをつつきつつ言う。


「でもさ。その人、あんたと相沢君のことは知ってるの?」

「あ、うん。全部知ってる」

「全部知った上であんたと結婚したいと言うなら、あんたにとってもいい話なんじゃないの? 昔はだいたい見合い結婚だったわけだしね」

「…………」

「もちろん相性ってのもあるけど。恋愛結婚だと結婚後に情熱が醒めて幻滅する可能性もあるけど、見合い結婚だと最初から何も期待しない分、上手くいくとも言うしね?」


知奈の言葉に、花澄はうーんと考え込んだ。

恋愛結婚にしても見合い結婚にしても、その後の結婚生活がどうなるかはあくまで二人の努力次第だろう。

知奈が言っているのはあくまでそういうこともあるという一面であって、全てではない。

と思いつつも自分の場合で考えたら、そうなのかもしれないと思ってしまう。

自分の場合は見合い結婚の方が向いているのだろう。


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