恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~



賢吾の言葉を花澄は呆然と聞いていた。

これは自分が思っていたより着実かつ早く話が進みそうだ。

賢吾の隣で小百合が胸の前で両手を合わせ、うきうきした口調で言う。


「もし良ければ、さっそく来週から一緒に住んでみたらどうかしら? こういうのは先延ばしにしても何か変わるわけでもないし……」

「一緒に住むとしたら僕のマンションに来てもらう形になるかな? 幸い物置にしてる部屋がひと部屋あるし。会社に通うにもその方が便利だしね」

「来週から一緒に住むとなると、今は3月の頭だから入籍は4月の連休明けくらいになるかしら?」

「そうだな~。準備に半年かかるとして、式は9月頃か? 下手したらプロジェクトの最繁期と被るかもしれないな……」


賢吾と小百合は口々に言う。

……なんだか既にとても具体的だ。

花澄は驚き仰け反りながら二人の話を聞いていた。



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