恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~
「そういえば、婚約届の証人欄は……」
「それは僕が来週までに父さんと繁次さんに頼んでおくよ。来週の中頃に小田原の方に行く用事があるからね?」
「念のため2枚書いてもらった方がいいかもしれないわね。書き損じることもあるから」
「そうだな、じゃあ後で区役所に行って数枚貰ってくるよ。あとは物置部屋の片付けかな。という訳で花澄ちゃん、来週の土曜にまたここに来てもらっていいかな?」
……もう既に一緒に住む前提で話が進んでいる。
しかし一度受けると言ってしまった以上、今更考えさせてほしいなどとは言えない。
それに来週から一緒に住むにしても、まだ入籍までには一か月余裕がある。
とはいえ……。
得体のしれない不安が胸に広がっていく。
花澄は頬を引き攣らせ、青ざめながら無言で二人の話を聞いていた……。