恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~
4.引越し
土曜日。
13:00。
花澄は段ボール2つ分の荷物とともに、賢吾が手配してくれた車に乗り込んだ。
今日はこれから品川にある賢吾のマンションに向かう予定だ。
ジーンズに白いブラウス、紺のカーディガンというラフな格好だが、今日はひたすら引っ越し作業をするので動きやすい格好の方がいいだろう。
それに賢吾も休日はラフな格好をしていることが多い。
とはいえ……。
月杜家は代々続く由緒正しい家で、生活レベルは花澄の家の遥かに上を行く。
これからは長男の嫁として、季節ごとに行われるパーティや政財界の人々との懇親会など、様々な場所に出席することになるだろう。
昔、まだ花澄の家が裕福だった頃、花澄は雪也達に誘われてよくそういったパーティに出席していた。
なのでだいたいの雰囲気は分かっているが、ブランクがあるため少々不安だ。
「花澄様、出発してよろしいですか?」
「はい、よろしくお願いします」