恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~
初めて聞く雪也の相手のフルネームに、花澄は無意識のうちに眉根を寄せた。
ズキッと鋭い痛みが胸に走る。
……可愛らしい名前の人……。
やはりフィルターが採用されたといっても、雪也の縁談は消えてはいないらしい。
むしろ、採用されたからこそ互いに更に乗り気になっているのかもしれない……。
「品川までは一時間ほどかかります。ゆっくりなさっていてくださいませ」
「あ、はい。ありがとうございます……」
車は中央道の八王子インターを過ぎ、都内の方へと向かっていく。
花澄は車窓の外を流れていく景色を眺めながら、内心で重いため息をついた。