恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~




「………………」


飛び込んできた光景に花澄は絶句した。

幅2メートルほどの玄関を入ると、左に脱衣所と洗面所、右にウォークインクローゼットがあるのだが、そのどちらもなぜか植物の鉢で半分以上が埋まっている。

廊下を抜けた正面には25畳ほどのリビング兼ダイニングが広がっており、ダイニングテーブルの上にもソファーの上にも、書類やら本やら機材やらが散乱している。

……一言で言うと、これは部屋というより『作業小屋』だ。

リビングに入ると右奥に賢吾の寝室が、左奥に花澄の部屋となるのであろう空き部屋が見える。

花澄はしばらく固まった後、青ざめた顔で賢吾を見上げた。


「……賢吾さん、これは?」

「ホントは片付けようと思ったんだけど、時間がなくてね~」

「脱衣所にあった植物は? あれって……」

「あぁ、冬の間は寒いし乾燥するから少しでも湿気のあるところに置こうと思ってね。今度ベランダに温室を作ってそこに移しておくよ」

「…………」


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