恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~
ここに来て、環の目的が賢吾にもなんとなく見えてきた。
花澄の家の工房に『港南機業』の子会社が取引を持ちかけてきたのはただの偶然ではない。
……この段階で動いていたのはある意味正解だったと言える。
花澄と環が再会したら、どう転がるか賢吾にも予想はつかない。
「とりあえず時間稼ぎをするしかないか……」
環が動き始めた以上、あまり余裕はない。
雪也が思惑通り、素直に動いてくれればいいのだが……。
賢吾は調査書をしまい、窓のさんに頬杖をついて軽く息をついた。