恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~
雪也は玄関を入って応接室の前を抜け、奥にあるリビングを抜けた。
両親との話はリビングの奥にある父の書斎で行うことが多い。
書斎の扉は開け放たれており、既に中に誰かがいるようだ。
雪也はボディバッグを書斎の入り口に置かれた棚の上に置き、中に入ろうとした。
そのとき。
「……そう、花澄ちゃんはもう賢吾のところに来たのね? 婚姻届は?」
「さっき弁護士に渡してきた。特に書類上の不備はないって言ってたよ」
「そう、これでひと安心ね。でも賢吾、入籍するまではあまり変なことはしちゃダメよ? まぁ二人とも大人だから、そこは二人で判断しなさい」
「わかってるよ」
書斎の奥から賢吾と小百合の声が聞こえる。
雪也はその場に凍りついたように立ち尽くした。
……今の、会話は……。