恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~
アレって……。
ぐっと押し黙った花澄に、知奈は続ける。
「あたしもいろいろな恋愛見てきたけど、このご時世、あんな恋愛ってなかなかあるもんじゃないわよ?」
「……そうなのかな……」
「そーよ。なにしろ幼馴染と大恋愛の末、駆け落ちし損なったあげく、相手は7年前から音信不通。今となっては日本にいるかどうかすら定かではない」
「…………」
「自然消滅ってのはよくある話だけど、恋愛の絶頂期にプツっと切れるなんてそうそうあるもんじゃないわよ。それにしても相沢君、どこに行っちゃったんだろうね~……」
知奈は首を傾げて言う。
花澄は梅酒のグラスを置き、無言で俯いた。
胸に鋭い痛みが広がっていく。