恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~



……7年前。


花澄は雪也という婚約者がありながら、幼馴染であり花澄の乳母の息子だった相沢環と恋に落ちた。

花澄と彼は昔で言う乳兄妹という間柄で、幼い頃から一緒に育った。

しかし身分違いの二人の恋は先が見えず、二人は不安の中、ただ互いへの想いを募らせていき……。

そして、高校を卒業した春。

追い詰められた二人は駆け落ちを企てたが、それを知った雪也が直前になって花澄を止めた。

駆け落ちは失敗し、花澄は日本に残り、環は一人で海外へと旅立った。

……それが、7年前。


自分がなぜ、環について行けなかったのか……。

雪也に引き止められたからという理由もあるが、一番の原因は、環について行く『覚悟』がなかったからだ。

今でも彼の顔を思い出すと胸が軋むように痛む。

……そう、自分の心には、まだ彼がいるのだ。

7年も経っているのに彼を忘れられない自分……。



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