恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~
まるでお互いの存在が強烈な媚薬であるかのように、離れることができない。
ましてや二人は互いの心の内もある程度察しあうことができる。
だから何も言わなくとも、お互いの体の感じる部分を感じ取り、無意識のうちにそれを行為に反映させることができる。
もはや、離れることなどできはしない……。
雪也に追い立てられ、迸るような快楽と共に白い世界へと飛ばされる。
やがて、くたりと力なく脱力した後……。
雪也の腕がそっと花澄を抱き寄せた。
「ね、花澄。……旧約聖書に出てくる『人類最初の罪』って何か知ってる?」
雪也の言葉に、花澄は疲労で閉じかけていた目をうっすらと開けた。
……人類最初の、罪……。
わからない、と目で告げた花澄に、雪也はくすりと笑って言う。
「……『兄弟殺し』だよ。カインはアベルを嫉妬で殺した」
「……雪……くん……?」
「つまりそれだけよくあること、ってことだよ。なにしろ創世の昔からあったんだ。……でもまさか、その当事者になるとはね……」