恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~
四章

1.罪悪感




月曜日。

花澄はプロジェクト・ルームの自席で、川波重工向けの商品説明書を作成していた。

川波重工に納めるフィルターは東洋合繊が手掛けているフィルターの中でも比較的新しめのもので、去年の秋から生産を開始したものらしい。

フィルターは本体である金属製のフィルターメディアと、取り換え式の繊維製のバッグフィルターで構成されている。

フィルターは滋賀にある東洋合繊の工場で生産されており、今回の受注を機に製造ラインを一本増やすことが既に決まっている。


「……既存のバッグフィルターに比べて3倍のサービスライフ、と……」


花澄はサーバの資料置き場を漁りながら、佐藤部長に渡された以前の説明書を見本にカタカタとキーボードを叩いていた。

この仕事は金曜に賢吾に依頼されたもので、特に何もなければ今日中に終わるだろう。


< 243 / 334 >

この作品をシェア

pagetop