恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~
賢吾のため、ではなく……
雪也のためにそう思っている時点で、既に自分は賢吾を裏切っている。
花澄は眉根を寄せ重苦しいため息をついた。
今さらではあるが、せめて賢吾に事情を説明するまでは貞節を保ちたい。
それまでは雪也と関係を持つわけにはいかない……。
────今朝。
マンションを出る時、雪也は『仕事が終わったらメールしてくれ』と言っていた。
賢吾が明日までいないことは雪也も知っている。
雪也は恐らく今夜も自分と一緒に過ごすつもりだろう。
けれどもうこれ以上、賢吾を裏切るわけにはいかない。
となると今夜は、知奈のところにでも転がり込むしかない。
確か賢吾は明日の夜に大阪から戻ってくるはずだが……。