恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~
「とりあえず君の部屋はこのホテルの中に取ってあるから。ビジネス用のシングルだけど、いいよね?」
「あ、はい。ありがとうございます」
「今のところ木曜に戻る予定だけど。……そういえば雪也から、金曜に滋賀工場に行くと連絡が来てたな……」
賢吾は思い出したように言う。
雪也の名前に、花澄は内心でコクリと息を飲んだ。
……雪也の名前が出た今がチャンスかもしれない。
冷や汗が背筋を伝っていく。
喉がカラカラに乾く。
けれど言わないわけにはいかない。
賢吾を裏切り続けるわけにはいかないのだ。
花澄は意を決し、思い切って雪也とのことを賢吾に告げた……。