恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~

3.専務の指示




そして日は過ぎ、木曜の午後。

15:00。


花澄はホテルの自室で賢吾に頼まれた書類を急ピッチで作成していた。

今作っているのはフィルターの商品説明書に添付する製品仕様書で、今日の夕方に川波重工の大阪工場にこれを渡さなければならない。

大阪工場は此花区の阪神高速・北港ジャンクションのすぐ近くにあり、近くにはUSJもある。

やがてパタパタという足音とともに、賢吾が部屋に姿を現した。


「どう? 花澄ちゃん。できそう?」

「はい、あと少しで出来ると思います」

「あちらさんが16時までしかいないっていうから、僕はもうあっちに向かうよ。でき上がったらOutlookにメールしてもらっていいかな? 現地で印刷するから」

「はい、わかりました」


賢吾は忙しそうにバサバサと書類を鞄にしまう。

そのまま部屋から出ようとしたところで何かを思い出したように振り返り、鞄の中からクリアファイルに入った資料を取り出した。


「あ、そうだ。これを渡しておかなきゃ」


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