恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~



「浜中さん、こちらはPMOの藤堂さん」

「はじめまして、浜中です。たまにメールでCCを入れさせて頂いています。これから宜しくお願いします」

「こちらこそ、よろしくお願いします」


浜中の丁寧な挨拶に、花澄も慌てて挨拶を返した。

挨拶が終わったところで、手にしていた書類を雪也に渡す。


「こちらが所長よりお預かりしたものです」


花澄が差し出すと、雪也はちらりと花澄の右手の中指を見た。

しかしすぐに視線を戻し、笑みを浮かべる。


「わざわざありがとう。助かるよ」

「では私は、これで……」


と踵を返そうとした花澄だったが。

すかさず雪也がニコリと笑い、声をかける。


「あぁ、藤堂さん。帰るのはちょっと待って? 頼みたい仕事があるんだ」

「……え?」

「所長には許可を取ってある。後で説明するから、下の事務所で待ってて?」


雪也は完璧な笑みを浮かべて言う。

花澄はコクリと息を飲み、はい、と頷いた……。


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