恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~



18:00。

指示された仕事を終え、花澄は鞄の荷物をまとめていた。

ノートパソコンなどの仕事道具と、5日分の衣類と……。

……でも思ったより早く終わってよかった。

これから都内に戻れば、明日の朝、朝イチで小田原に向かうことができる。

今着ているスーツは戻ったらクリーニングに出そう、と思いながら荷物を整理していた、その時。


「仕度できた?」


見ると、スーツにビジネスバッグ姿の雪也がドアのところに立っている。

これから二人でタクシーに乗り、新幹線と連結している京都駅まで向かう予定だ。

花澄は軽く身なりを整え、鞄を手に取った。

既にロータリーにはタクシーが到着している。


「後ろに乗って?」


花澄は荷物を先に入れ、後部座席に乗った。

その隣に雪也も乗り込む。

やがて静かなエンジン音と共にタクシーが発車した。

少し走ったところで、雪也が運転手に言う。


< 276 / 334 >

この作品をシェア

pagetop