恋獄 ~ 白き背徳の鎖 ~



「すみません。京都駅ではなくて、嵐山の方に向かってください」


花澄は思わず息を飲んだ。

……嵐山?

驚く花澄に雪也は悪戯っぽく笑い、続ける。


「渡月橋を渡ったところで北に向かってください。また近くになったら詳しい場所を言います」

「畏まりました」


運転手は軽く頷き、恭しく言う。

花澄は背筋を強張らせ雪也を見た。

……雪也はどこに行こうとしているのだろうか。

よくわからないが、今日中に都内に戻らないと……。

と言いかけた花澄に、雪也は鞄のポケットから携帯を取り出した。

ピピッと操作し、花澄に画面を見せる。

花澄は画面に表示されたメールを見、……絶句した。


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